生命の期限
朝聞かされた話を、昼の休憩時間に初めてのように同じ話をする。
二度どころではない、何度も繰り返しする。
それを指摘すると、こんどは本人が怒る。
65歳以上の4人に1人。
軽度認知障害(MID Mild Cognitive Impairment)は研究が進んでいる。
予防方法、進行を遅くする薬、マウスでの実験などが繰り返されている。
人は老いる。
これも防ぎようのない症状なのかもしれない。
必ずしも、だれもが掛かるわけではない。
初めは軽度の記憶障害。
あなたの伴侶、恋人、兄妹、両親が、ならない保証はどこにもない。
先のことを、どうこう案じてみても予防線は張れるだろうけれど、未来は不確実。
もしそうなったら?
起こった後から対応するしかない。
準備や心構えはあっても、いざ当事者になれば大きな不安がよぎるだろう。
人の身体は鋼鉄でコンピューターで完璧じゃない。
誰にも老いはやってくる。
逃げられない、避けられない生命のルールの一つだ。
暗い映画だったが「ブレードランナー」を思い出した。
レプリカント(人造人間)たちは、安全のために4年間の限られた命をもっている。
彼らは、自分がいつまで生きられるのかを知りたがった。
それは人も同じだ。(デッカード)